赤外線外壁調査とサーモカメラの選定について
住設
赤外線外壁調査とは、サーモカメラを用いて建物の外壁表面温度を測定し、その温度分布を画像化することで、外壁の内部状態や損傷箇所を推定する調査方法です。
外壁塗装の耐用年数は、約8年〜約10年と言われていますが、日照時間の長い地域など、環境によっては早く不具合が発生する可能性もあります。湿式工法で施工された建物の外壁材(タイルやモルタル)は、時間が経つと劣化が進行します。この劣化の主な原因は、雨水などによる外壁への水分侵入や、日々や季節ごとの温度差です。朝と昼、または夏と冬の温度差により、建物の躯体(コンクリートなど)と外壁材の間に徐々に隙間(空気層)が生じることがあります。そしてその空気層の厚さは時間の経過と共に大きくなってきます。この空気層ができることを外壁が浮く(剥離する)といいます。
なぜ赤外線を使うのか?
- 非破壊検査: 外壁に直接触れることなく、内部の状態を調べることができます。
- 高精度: 外壁の温度差を可視化することで、肉眼では見えない微細なひび割れや浮きなどを検出できます。
- 短時間: 広範囲を短時間で調査することが可能です。
赤外線外壁調査でわかること
- 外壁のひび割れ: ひび割れ部分の温度が周囲と異なるため、早期発見が可能です。(画像)
- 外壁の浮き: 外壁と下地の間の空洞部分の温度が周囲と異なるため、発見できます。
- 断熱性能: 外壁の断熱性能の良し悪しを可視化できます。
- 水漏れ: 水が浸入している部分の温度が周囲と異なるため、特定できます。
赤外線外壁調査のメリット
- 足場不要: 高所作業車や足場を組む必要がないため、コスト削減につながります。
- 迅速な調査: 広範囲を短時間で調査できるため、迅速な診断が可能です。
- 客観的なデータ: 赤外線画像という客観的なデータに基づいて、診断を行うことができます。
赤外線外壁調査のデメリット
- 環境条件の影響: 外気温、日射量、風速など、環境条件によって測定結果が変動することがあります。
- 熟練技術者の必要性: 正確な診断を行うためには、専門的な知識と経験が必要です。
赤外線と打診の外壁調査費用について
赤外線調査と打診調査、それぞれの費用について考えます。
費用の構成要素
調査費用は、以下の要素によって大きく左右されます。
- 調査面積: 調査する外壁の面積が大きくなるほど、費用も高くなります。
- 建物構造: 高層建物や複雑な形状の建物は、足場設置や作業時間が増えるため、費用が高くなる傾向があります。
- 調査方法: 赤外線調査は非接触のため、比較的低コストで済みますが、打診調査は足場設置や人件費がかかるため、高額になる傾向があります。
- 調査項目: ひび割れ検出だけでなく、断熱性能評価や湿気調査など、調査項目が増えるほど費用も高くなります。
- 報告書作成: 調査結果をまとめた報告書の作成費用も含まれます。
費用相場
- 赤外線調査:
- 1㎡あたり120円~350円程度が相場です。
- 外壁面積が大きくなるほど、㎡単価は安くなる傾向があります。
- 打診調査:
- 1㎡あたり240円~450円程度が相場です。(1,000㎡以上の場合)
- 足場設置費用や作業方法によって、費用は大きく変動します。
※上記の費用はあくまでも目安であり、実際の費用は業者や調査内容によって異なります。
赤外線外壁調査に必要なサーモカメラの選び方
1. 温度分解能
- 高解像度が必須: 外壁のわずかな温度差を捉えるためには、高解像度のサーモカメラが不可欠です。赤外線解像度が640×480以上を推奨しています。
- ミリケルビン単位: 建物の外壁調査では、数ミリケルビン単位の温度差を検出できることが理想です。温度分解能に優れているほどより細かく調査できます。
2. 視野角
- 調査範囲に合わせた選択: 広範囲を迅速に調査したい場合は広角レンズ、細かな部分まで詳しく調べたい場合は狭角レンズなど、調査目的や対象物に合わせて視野角を選択します。
3. 機能
- 温度測定範囲: 調査対象となる外壁の温度範囲をカバーできることが重要です。
- 画像処理機能: 温度分布を視覚的に分かりやすく表示する機能や、測定データを記録・分析する機能が役立ちます。
- データ保存機能: 調査データを保存し、後から分析できるように、データ保存機能も重要です。
赤外線外壁調査におすすめ機種 HIKMICRO SP60シリーズ
税別 1,480,000円(レンズの種類により価格変動あり)
- 主な機能・1秒の高速フォーカス
・柔軟に回転するレンズとスクリーン
・屋外用に設計
・多様な交換レンズ
・連続デジタルズーム - 赤外線解像度640 x 480
- SuperIR解像度1280 x 960
- 視野角(FOV)24.8° × 18.7°
- 瞬時視野角(IFOV)0.66 mrad
- 温度範囲-20°Cから650°C
- 温度精度±2°Cもしくは±2%
- フレームレート25Hz
- 温度分解能(NETD)<30 mK
- マクロレンズ(オプション)20um/50umマクロレンズ
- 駆動時間4時間x2
- デイスプレー5.0“ LCDマクロレンズ
- 可視画像3264 x 2448 (8MP)
- LEDライトO
- 付属ソフトO
- ワンタップレベルスパンO
- ビデオ出力O
- レーザーポインターO
外壁調査にサーモカメラをご検討の方は下記のメールアドレスまでご相談ください。
web@leaklab-japan.com