ダブルエンドキャップPAGとは
潤滑剤
1.概要
PAGと言ってもその潤滑油には冷媒の変遷とともに改良されてきた歴史があります。この記事ではダブルエンドキャップPAG(ポリアルキレングリコール)潤滑剤について深堀りしていきます。
元々市場にあったシングルエンドキャップの PAG にはヒドロキシル基が含まれていますが、ダブルエンドキャップの PAG にはヒドロキシル基が含まれていません。 吸湿性、耐食性、潤滑性に関して決定的な認められています。これらすべてに関して、ダブルエンドキャップPAG はシングルエンドキャップPAG より優れています。 そのため、当社のPAGオイルを含むHFC-134a冷媒用のジメチルエーテルキャップ(ダブルエンドキャップ)PAG潤滑剤が開発されました。
自動車業界では長年にわたって CFC-12 が使用されていたため、クロロフルオロカーボン (CFC) の生産を停止するというモントリオール議定書による決定は自動車業界に深刻な影響を与えました。自動車業界は HFC-134a 冷媒を選択したのですが、この新しい冷媒はハイドロフルオロカーボンであり、従来の冷媒よりも環境に優しいとされています。しかし、新しいHFC-134a 冷媒には問題が 1つありました。それがCFC-12の潤滑剤である鉱油(ミネラルオイル)と混和しなかったことです。そこで、それまであったPAGとはまた違ったHFC-134a用の新しい合成PAG冷凍機油が開発されました。
PAGベースストックの特徴
自動車のエアコンはクローズドシステムに分類されますが、バリアホースからの浸透により湿気の吸収は避けられません。 そして冷凍機油は交換することが難しいため、車の寿命を通じて性能を維持する必要があります。そこで PAGは、その抗加水分解性能により選択されることとなりました。
吸湿性
PAG 構造の吸湿性は水酸基の数が増加するにつれて吸湿性が増加する傾向があり、EOの水酸基の水素結合力はPOに比べて10倍強いとされています。その吸湿性はジエステル型、ジカーボネート型の吸湿性はジエーテル型と同等ですが、吸収した水分は加水分解を起こします。そのため、シール部やバリアホースから水分が浸透しやすいジエーテル系PAGは、自動車用エアコンシステムでの使用に最適であると言えます。また、吸収された水のpH値は弱酸性であり、エーテルは電子受容器として機能することが認められています。
自動車用エアコンオイルの性能と構造
自動車用エアコンにおいて潤滑油に求められる性能を現したものが図1になります。
まとめ
自動車用エアコンシステムにおける HFC-134a 冷凍機潤滑油の性能は、PAG の末端基と主化学構造によって影響されます。 ヒドロキシル末端基を持たないジエーテルPAGは、ヒドロキシル末端基を有するモノエーテルPAGよりも吸湿性が低く適していません。
つまり、エンドキャップ付きのPAG は適切な潤滑性を提供し、自動車の A/C 用途に推奨されるオイルとして幅広く使用されています。